「クーヤン、私3時に帰りたい良いですか?」
「その前に、私のお客さん2人もお願いして良いですか?」
「お客さん2人、2時30分にはお店出るから先に送って戻ってね。」
一本の電話のアッシー君依頼で二度美味しいのだから断るわけが無い。
10分で行けると答えて電話を切る。
予定時刻よりもチョット早いが、着いたとメールを入れて待機。
程なくして2人のお客さんがお店のスタッフに付き添われて現れた。
2人の内の1人は車に乗り込もうとしない。
1人が先に乗って、そのまま行くように指示を。
送り終わって、フィリピーナの送りの為に戻ると。
植え込みに腰を下ろした先程の片割れがいるのを確認。
フィリピーナとの約束の時間近くに、彼女からの電話が掛かってきた。
「クーヤンさっきのお客さんの1人お店の下にいる?」
「一緒に帰って、私の家で泊まると言って聞かないんだ。」
「お店が忙しいから遅くなるからと言っても待ってると聞かない。」
「彼がお店の前にいると私出る出来ないね?」
「ちょっと待っててね!」
植え込みに腰を下ろして座ってるお客さんに目をやると。
携帯電話で誰かと話してる様子。
その電話が終わると、彼女から私に電話が掛かってきた。
「どう、クーヤンあのお客さん行ったかな?」
「セブンイレブンの所で待ってるように言ったんだけども。」
先程のお客さんに目をやると、一向に動く気配は無い。
その事をフィリピーナに告げると。
「ちょっと待って、もう一回電話しするから。」
お客さんに目をやると、またしても電話に出て話してる。
そのお客さんは、どうやらフィリピーナの指示通りに電話で話しながら動き始めた。
歩き始めたお客さんの後ろ姿が、何となく寂しげに見える。
お客さんの姿が見えなくなった頃に、またフィリピーナからの電話。
「クーヤンお客さん行ったかな?」
何処かに行って見えなくなったと答えると。
「今から降りるから、車お店の前に付けておいてね。」
走ってきたフィリピーナが後部座席のドアを開けて直ぐ乗り込む。
見つからないようにと、体を小さくして隠れて座って。
「クーヤン早く車出して!」
車を発進させて少しすると、フィリピーナがちゃんと座って。
「参った!幾ら帰るように言っても待ってて私の家に泊まるときかない。」
そのフィリピーナ、子供がいなくって子供を欲しがってる。
以前そんな話を車の中でしていたので
子供を作る良い機会じゃ無いのと言ってみると。
「クーヤン、子供欲しいけども相手が何でも良いわけじゃない!!」
じゃ私が子供作るのを協力してあげようかと、冗談で言ってみると。
「少し考えても良いかな?」
「クーヤンは優しい人だから良いかな?」
「いっぱいいる送りの中であなたを選ぶ理由も有るしね。」
それにしても、さっきのお客さんはいったい何処に行かされたんだろう?
彼女の来るのを信じて待ち続けてる?
裏切られても、また次にも同じ事を繰り返すのか?
待ちぼうけ、なんとカワワなお客さんなのか・・・・・