雨の激しく降る日、こんな日はアッシー君の依頼も増える。
歩くのが嫌なフィリピーナが相手だから、家の前まで強引に付けさせられる事も。
行きに頼まれたフィリピーナ、ちょっと早いが12頃に電話が
「もう帰りたいんですけども、空いてますか?」
忙しく走り回ってて、少し車を止めて休もうと思ってた。
しかたなく、15分ぐらいで行けると答える。
予定より少し早いが、指定の場所に車を止めて直ぐに
「着いてますか?何処にいるのかな?」
指定された場所が、車で埋まってたので少し先に止まってると告げる。
少しして、雨に濡れながら車に乗り込んだフィリピーナが
「今日この後、おくりの仕事は入ってるの?」
既に、この時予約が入って終わった後に直ぐ戻らないといけないと答える。
何か様子がおかしいので、何か有ったの?と聞いてみた。
彼女の家に向けて走ってる車の中で。。。。。
「何処か居酒屋でも一緒に行こうと思って」
運転してる私の腕を強く掴んだフィリピーナが突然泣き始めた。
大きな声で、嗚咽混じりでただ泣くだけ。( ̄。 ̄;)
腕を余り強く握るので、その手を取り直して彼女の手に重ねて握り直す。
その手は幾度となく強く握りしめられて、まるで泣くリズムに合わされてる様に感じる。
声をかけず暫く車を走らせたが、なにがあったの?とまた聞いてみた。
「アコのタタイ今いなくなった」
「私が何もかもグチャグチャになるくらい頑張ったのに」
「その為に、私の幸せも何もかも無くなった。」
車の中で泣き叫ぶフィリピーナが、私の肩に顔を付けて思いっきり泣いている。
このフィリピーナのタタイ、以前日本に来日した時にアルバイトで使ったことが有る。
人の良い、優しそうな人物だった。
何時も送り迎えする車の中で、私の娘をヨロシク頼むと言われた。
彼は、娘が全てを犠牲にして親や家族の事を面倒見てることを後悔して恥じていた。
当時母親は病んでおり、病院で治療する為に費用を娘だけに任せることは出来ないと。
日本に出稼ぎで3ヶ月間来日していた。
父親や娘が頑張ったことが意味なかったように、その年の後半に母親は息を引き取った。
それから暫くして、今度は父親が倒れることになる。
倒れてから約1年余り、彼女は有りとあらゆる手段を使って治療代を稼ぐ事になる。
その父親が昨夜亡くなった。(゚ロ゚屮)屮
泣き叫ぶ彼女の肩を、運転をしながら強く抱きしめて上げる。
何も言えない、彼女のやって来たこと全て知ってるから・・・・・・
彼女の家に車が到着したが、降りようとしない彼女。
「何処か連れて行って!」
「子供にこんな姿見られたくないから。」
既にこの時、次のお客さんの予約の時間が・・・・・
ゴメンね、次のお客さんが待ってるから。
一緒にいてあげたいけども出来ない。と彼女に伝える。
そして、こう付け加える。
「今はいっぱい泣きなさい。でも、イカウのタタエは充分と思ってる。」
「此からは、自分の幸せを見つけて欲しいと思ってるよ。」
この言葉を聞いた彼女、車のドアを開け泣きながら家の中に入っていく。
このフィリピーナ幾度となく私に近づいては遠のいていく。
此から先は??